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ロイテリ菌タブレットについて

2018.07.31(火)

診療中、患者様から同様のお問合せが複数ありましたのでこちらで掲載いたします。最近、歯周病治療に良いものとして、ロイテリ菌という細菌を含んだ錠剤を勧めたTV番組があったそうです。これの効能についてです。

 

ロイテリ菌の正式名称は「ラクトバチルス・ロイテリ菌」という乳酸菌の一種で、身体のなかに共生している天然の乳酸菌です。乳酸菌の中で有名なものとして、皆さんもご存じのヨーグルトの中に含まれるビフィズス菌がありますが、ロイテリ菌もこの仲間にです。

 

ビフィズス菌は腸内に入ると強力な酸を作り、腸内にいる悪玉菌「ウォルッシュ菌」が生息できない環境を作り出します。ウォルッシュ菌は肉などのタンパク質を過剰摂取すると増加し、おならや大便の悪臭、そして体臭の悪化の原因となります。この菌を除去されることで便通が良くなり、腸内の清掃性が良くなることから摂取が推奨されています。ビフィズス菌は私たちの体に対する善玉菌なのです。

 

一方ロイテリ菌は、口腔内で定着すると私たちの体と共生して、歯周病や齲蝕の原因細菌の生息域を駆逐してくれる善玉菌としての機能をもっています。ビフィズス菌が腸内で機能する善玉菌なのに対して、ロイテリ菌は口腔内で機能する善玉菌ということになります。ロイテリ菌の機能の主体は、ロイテリ菌が分泌する天然の抗生物質、ロイテリンによるものです。生まれたての赤ちゃんが、可能であればお母さんの母乳で過ごしたほうがいいのはこういう面でのメリットもあるということです。

 

ビフィズス菌が発酵乳(つまりヨーグルト)に多く混入しているのに対して、ロイテリ菌は人間の母乳や産道に含まれている細菌です。したがってビフィズス菌と比べて私たちが日常生活において体内に摂取する可能性は残念ながら低いものです。このため、科学的にロイテリ菌を繁殖させ、タブレット(錠剤)にしたものが製品として流通・販売されはじめました。従来の歯科治療は、虫歯や歯周病の繁殖の原因となる部分、例えばむし歯の穴や、細菌の塊であるプラーク(汚れ)や歯石を取り除くことで、細菌の数を減らすのが主体でした。一方ロイテリ菌による口腔内の細菌バランスそのものを変化させる方法は、まったく新しい口腔ケアのアプローチとして注目されてます。

 

ロイテリ菌タブレットの服用は非常に有効な歯周病ケアの方法ではありますが、すでに出来てしまったむし歯や歯石の除去、むし歯の回復をはかることはできません。この点には注意が必要です。歯科治療が完了し、もう治すべき部分のない方が、予防のために使用するのが最適な使用方法ではないかと思われます。

 

最後に、ロイテリ菌タブレットの服用は現在医療保険には適用されておらず、民間薬を自主購入して各自で使っていただく形となっております。ご不明な点があれば、お問合せ頂ければ必要アドバイスを致します。

 

医療法人社団金子歯科医院 吉田

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